カントリーミュージックのルーツ 







 
                      アメリカンポップスのルーツ

アメリカの西部(West)といえば、テキサス州、コロラド州、アリゾナ州などの州名が思い浮かびますが、広範囲に
は、カンバーランドギャップ(Cumberland Gap)と呼ばれている地域=アパラチア山脈より以西を指します。アパラ
チア山脈以西の地域は別名サンベルト(=Sunbelt)とも呼ばれています。従ってフォスターの歌曲の中に出てく
るケンタッキー州やテネシー州も西部に含まれ、特にケンタッキー州は北部と南部の境目にあたり、Mason-
Dixon Line またはBluegrass State=青草の州とも呼ばれています。テネシー州の州都ナッシュビルには、リズ
ムアンドブルースとカントリーとロックのレコーデイングスタジオがたくさんあります。エルビスプレスリーや元ビー
トルズのメンバーのリンゴスターとジョージハリソンもこの町で多くの曲をレコーデイングしました。

現在のロックミュージックの「ルーツ」をたどると、黒人のブルース(リズムアンドブルース)と白人のカントリー&
ウェスタン音楽が融合したもの=ロックンロールがベースになっています。60年代に一躍スターになったエルビ
スは、ロックだけでなくカントリーやハワイアンなどのレパートリーもこなし、ビートルズに多大な影響を与えまし
た。惜しくも彼は42歳という若さでこの世を去りました。彼のモニュメントが故郷のテネシー州メンフィスに建立され
ました。

残念なことに日本では、カントリー&ウェスタン音楽は年輩の男性がカウボーイハットをかぶって歌うスタイルの
音楽と誤解されていますが、実際はそうではなく、アメリカ本国では、若い世代や女性のファンも多く、必ずしもカ
ウボーイだけが歌う音楽ではありません。 ガースブルックスという歌手はカントリー、ポップス両方の分野で活
躍していて大変人気があります。Taylor Swift(テイラースイフト)という18歳の女性歌手はグラミー賞を2度獲
得しています。

歌手の中には元トラックの運転手、プロ野球の選手(ジムリーブス)、教師、弁護士、DJ、牧場経営者、市役所
の市長(ジミーデイビス)、映画俳優(デニスウィーバー)などがいてさまざまな生活体験をしていることから、カ
ントリーはアメリカ人が生活の中で感じた喜びや悲しみ、苦労を詩(うた)で表現した大衆音楽と言えます。 
バラード調の曲、ロック調の曲、ヨーデル、ブルーグラスと呼ばれているスタイルやアップテンポのダンス曲など
があり、レパートリーに幅があります。そして、一時的な流行に終わらず、西部開拓時代の開拓者たちから現代
の世代へ引き継がれた伝統をもち、線的で広がりを持つのが特徴です。

歴史的な背景(Background)をたどってみると、18〜19世紀にかけて、ヨーロッパからの移民が1番多かった
州がペンシルバニアでした。開拓者たち(The Pioneers) はカンバーランドギャップという峠を越え、まずアパラ
チア山脈へ進み、土地を切り拓きました。多くの困難にめげず彼らの多くは、更にミシシッピー河を渡り、西部の
荒野を切り拓き、定住しました。19世紀後半にカリフォルニアで金が発見されて以来、ロッキー山脈を越えて西
海岸のカリフォルニアへ向かった人々もいました。
仕事の合間に歌ったフォークバラードの多くは、ヨーロッパ
(特にスコットランドやアイルランド
= Scotch-Irish people=スコットランド系アイルランド人やイギリス、欧州
のドイツや北欧などからもたらされたト
ラデイショナルバラード(民謡)をアレンジしたもので、これらに黒人の
ブルースのリズム
が加わり、カントリーが生まれ、更に洗練されて現代のアメリカンポップスへと発展していきま
した。

フィドルミュージックの演奏の第一人者にマーク・オコーナーがいます。彼はフィドルとクラシックバイオリンの
両方の演奏に優れていて、クラシックからスイング、ブルーグラス、カントリー、コンテンポラリーを幅広くこなす
天才的なミュージシャンです。また、自ら作曲も手がけていて、室内楽曲「アパラチアワルツ」「アパラチアジャ
ーニー」はクラシックファンにもお薦めの作品かと思います。

演奏に使われている主な楽器も多種多様です。ポップス系、ロック系にはスチールギター、ドラムス、エレキギ
ター、アコーステイックギター、ピアノ、ブルーグラス系には、5弦バンジョー、フィドル(バイオリンの1種 スコット
ランドとアイルランドから導入)、フラットマンドリン(マンドリンの1種=イタリアから導入)、ドブロギター(チェコ
スロバキアから導入)、アコーステイックギターなどが使われています。

カントリーには、南東部テネシーの伝統的な
ナッシュビルサウンド(Nashville Sound)とカリフォルニアのベーカ
ースフィールドを拠点にしたモダンな演奏スタイルの
ウェストコーストサウンド(Westcoast Sound)があります。
ナッシュビルのオープリーランドにある劇場で毎週土曜日に行われるカントリー番組=
グランド・オール・オプリ
ー=Grand Ole Opry に多くのスター歌手が出演します。出演者は、歌や曲の演奏だけでなくエンターテイナー
=Entertainer
としても活躍します。
                      
一方、「ワルチングマチルダ」の民謡で知られている南半球のオーストラリアでもカントリー音楽が盛んで、メル
ボルンや地方の町でよくコンサートが催されています。スリムダステイ、ジョンウィリアムソン、タニアカーニガン
などの歌手が活躍しています。

                                      ビギナーのためのカントリーとアメリカ民謡アルバムのご紹介↓

 


  歌手、グループ名

     曲                    目

      アルバム名とNo.
<ボップス系> 
 アンマレー

 "Snowbird"

 Capitol   ECS-90007 

 グレンキャンベル

 青春の光と影 "Both Sides Now"

 Glen Cambell's 20 Golden Greats CDP 7 48613-2 

 ジョンデンバー&
  エミルーハリス(ロック系)

 "Wild Montana skies"
  ワイルドモンタナスカイ

 "Emmylou Harris Duets"  
  Reprise 9 25791-2

  アラバマ (ロック系)

 "High Cotton"

 "Alabama Greatest HitsU" RCA61040-2

 デザートローズバンド (ロック系)

 "Summer Wind"
  "No one else"

 "Running"   Curb  MCAD 42169 
 "True love"   Curb ALCB 434
<ウェスタンスイング系>
  Asleep at the wheel 

  "Red Wing"  (赤い翼)
 Tribute to the music of Bob
 Wills  CDP-0777-7-81470-2-2 

 マーテイロビンス

 ”El paso”
 

 SRCS 5826〜7
<フォークトラッド系>
  メアリーC・カーペンター

"Halley came to Jackson"

 "Shooting straight in the dark 
   Columbia CK 46077

  エミルーハリス

 
”Timberline”

 "The ballad of Sally Rose" 
   Warner Bros.    9 250205-2
<アメリカ民謡〜アイリッシュ
 トラッド>

 
ピートシーガー 
 Alfred Deller Consort

 "ジェシージェームス""ジョン
 ヘンリー” 
 "かっこう鳥"

 "Folk Classics"
  CBS 463487 2 

 Various Artists

 "Little Joe, the Wrangler"
 "Chisholm Trail"
 "テキサスの黄色いバラ"
 "バーバラアレン"
 "草競馬"
 "夢見る人"

 "The Wild West"
  Aspen73333 35828-2
<アイリッシュ>
 チーフタンズ  Chieftains 

 "シェナンドー河"
 "Morning has broken"
 "コットンアイド・ジョー"
  

 BVCF-31103
<オーストラリア盤>   
 
ジョンウィリアムソン
 
 "Three sons" 
 
 
  "The way it is" EMI MUSIC AUSTRALIA 

                                                

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