丸木舟のご案内 アト゜イについて モシリのCDやアト゜イの本はこちらから リンク モシリライブについてはこちら


− ひとりごと −

ゴミ捨て場で、壊れたギターを拾った。何気なく、ポーンと音を出してみた。背中に水を流れるのを感じた。神秘的な音にこころがドキドキした。夢中になった。 友だちのいなかった俺の心をやさしく慰めてくれた。10歳の時である。以来、ポーンからポローン・ポローンと音を重ねていくうち、アイヌのじいちゃん、ばあちゃんが焼酎を飲みながら歌っていたのをつま弾いていた。今でも楽譜はよめない。大自然から聞こえる音をメロディにしている。 自ら演奏し、自らの魂に聴いてもらい、さらにカムイ(神々・自然界)に聴いてもらってきた俺の音楽を、不思議な連中がCDにした。ひとり歩きした。恥ずかしかった。カムイと俺のための音楽だと思っていたのに、見ず知らずの人も感動したというから驚いた。 俺たちアイヌ民族の祖先は「役割なくしてこの地球に存在するものはない」と考える。俺の音楽に感じてくれる人がいる限り、不思議な仲間とともに、心静かに、湧き水のような音楽を作り続けたい。
アト゚イ

近代世界は人間が主体であり
人間が神々や動物たちや植物たちを征服する世界である
そういう世界はやがて破局を迎えるであろう
アイヌの天性の詩人アト゚イの歌う世界は
かつてのアイヌの理想世界であるとともに
現実の惨めな世界の破滅でもあり、またこの世界の救済の方向でもある
このような詩人アト゚イの歌う歌声が日本の人のみならず
世界の人の心を変える日を、私は期待したいのである

哲学者 梅原 猛