作品解説/「アフター・ザ・ワールド・エンド」
第100回くらい(だったと思う)の文学界新人賞に投稿し、1次予選すら突破できずに挫折した作品です。……あれ?おっかしいなぁ。『スイヒラリナカニラミの伝説』ほどの出来栄えではないにせよ、『トイレット・ガール』や『ゼリィ・フィッシュの憂鬱』には劣らないと思ったし、『天使の歌』や『吸血鬼マリア』よりずいぶんよく書けたと自分では思ってたんだけど。
まぁ正直なところ、年を追うごとに、自分が追求する方向性と、文学界新人賞が求める方向性とが、乖離していっている実感はありますね。退化?
かなりあざとい形でカミュ『異邦人』だのレーヴィ『アウシュヴィッツは終わらない』だの引っ張ってきて、現代における文学と、ことばの問題と、アーレント風にいう「必然性=貧窮」の問題とが、複雑に絡み合って通底している、という身体的感覚を、どうにか小説の形にまとめようとしているわけですが。